F&LCの考えるサステナビリティ

CEOメッセージ

日本で磨いたブランドを世界に発信し
グローバルな外食企業として成長を加速

代表取締役社長 CEO

山本 雅啓

「One Company」で取り組み、世界中に美味しさと喜びを広げる

2024年に代表取締役社長CEOに就任し、「One Company」という言葉を掲げました。これは、グループ全体が一体感を持ちながら、より良き顧客体験を実現するための組織行動指針であり、未来に向けてつくる組織文化を表す言葉でもあります。この「One Company」の実現に向け、FY25はサイロ型の縦割り意識を解消するなど、3つの取り組みを進めてきました。1つ目は、海外と国内の連携強化です。2つ目は、事業会社の営業部門・店舗と本社部門間の一体経営です。一丸となってお客さまにより良き体験価値を提供することを追求しています。3つ目は、本社部門間でのコミュニケーションの強化や情報連携です。取り組みは多岐にわたりますが、例えば社内に点在していたデータを統合し、的確な意思決定につなげる仕組みづくりも重要な取り組みの1つです。

私自身も、全領域の事業会社や部門責任者と意識的にコミュニケーションを取るようにしており、経営のトップメンバー同士での意思疎通がスムーズになってきたと実感しています。また、当社グループに入社した当時から「お店のスタッフと同じ視点を忘れずに働く」という姿勢を大切にしており、毎月国内の店舗を回り、店長やエリアマネージャーとカジュアルな雑談も行っています。特に、本社と現場は距離ができやすいため、「常に本社も共に取り組んでいる」という思いとメッセージを伝え続けるようにしています。その結果、会社全体として「お客さまが心もいっぱいになる体験とは何か」を追求するなど、意識が一層高まってきていることを感じています。

9カ国・地域の海外店舗も訪れ、駐在員はもちろん、現地スタッフとのコミュニケーションもとても大切にしています。海外ではまだ回転寿司市場が新しい食文化である地域もあり、現地スタッフは勢いや活気がある良い接客をしてくださっていることを行く先々で実感しています。

サステナブルな水産資源調達により、競争力強化と社会課題解決を目指す

FY25の業績は国内・海外ともに好調に推移し、当期利益は前期末予想から約80億円の上方修正となりました。大きく寄与したのは、魅力的な商品やキャンペーンによって好調だった国内のあきんどスシローと、中国を中心とした海外スシロー事業の成長です。

国内は外食市場が成熟する中、スシローは「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」という使命の体現を進めています。出店については、関係部署の連携により16の新店全てが好調な滑り出しとなりました。マーケティング戦略では、価格だけではないブランド価値の訴求を強化することで、新しいお客さまだけではなく繰り返しご利用くださるお客さまも増えました。例えば、仕入れ・物流・営業・店舗・広告部門が一丸となって、鮮度へのこだわりなどブランド価値の根幹を店やテレビで発信、周知をはかりました。「鮨 酒 肴 杉玉」は世界で100店を突破し、「回転寿司みさき」はブランドの旗艦店となる「みさき総本店」を2024年9月に東京・人形町にオープンし、成功しています。「京樽」は不採算店の整理と厳選出店により、収益性を継続して改善しています。

海外事業に関しては、中期経営計画に基づき拡大を継続しつつ、各国・地域の事業環境に応じて出店を進めています。その結果、FY25の9月末時点で海外の店舗数は前期比52店増の234店となりました。中国大陸では63店となり、スシローはエリアによっては200%の成長をしました。東南アジアも堅調で、タイは38店に拡大し成長をけん引するマーケットとなっています。シンガポールのMandai Wildlife Resarve店では東南アジア初となる「デジロー」を導入し、注目を集めています。さらに新規エリアとして2025年2月にマレーシアにオープンした1号店も好調で、様々な都市で出店を待ち望むお客さまが増えていると感じています。

アメリカ・ボストンにオープンした「鮨 酒 肴 杉玉」業態の「酒林(Sakabayashi )」は、味やPR戦略などの改善を重ねた結果、現地のお客さまに支持される店へと成長しています。これは「あるべき顧客体験価値」をつくる成功体験ともなり、さらなる海外展開につながりました。

こうした事業の経営資本として、水産物・農産物の持続可能性を探求しています。海洋水産資源が枯渇する可能性がある中で、「未来でもおいしいおすしを楽しめることを感じていただきたい」という思いから、2025年大阪・関西万博において「まわるすしは、つづくすしへ。―すし屋の未来2050―」をコンセプトとする「スシロー未来型万博店」を出店しました。天然に依存しない水産資源の重要性が増していることを鑑み、魚は全て養殖ものを使用した「あしたのサカナ」シリーズを販売。お客さまにも好評で、「未来につづくすし」を体感していただけたのではないかと思っています。

また、変化する自然環境に対応し、水産資源をサステナブルなものとするために、様々な養殖技術をもつ企業への資本参加や業務提携を通じて、安定調達に向けた基盤づくりに取り組んでいます。例えば、養殖事業の川上では、種苗から成魚までの一貫生産を手がける養殖事業者の方とともに設立した合弁会社「マリンバース」において、養殖技術をさらに進化させ、良質な水産物の安定供給を目指しています。さらに種苗開発などを通じてバイオベンチャーの方々との共同研究も継続し、将来の社会的ニーズに対応していきたいと考えています。

一方で、喫緊の課題である海水温上昇などによる供給不安に対しては、養殖業者の方々とのアライアンスを強化し、調達の安定化を図っていきます。長期的研究と短期的実践の両面から、水産資源の持続可能性を追求します。

「人」の力を成長ドライバーに、多様な人財が活躍できる環境づくり

企業成長の原動力は「人」にあると捉え、人的資本経営に注力しています。特に重きを置いているのは、多様な人財の活躍です。当社では、性別、年齢、国籍、人種、民族、障がいの有無など様々なバックグラウンドを持つ方々が活躍しています。その従業員一人ひとりが自分の強みを活かし、自分らしく組織に参画していると感じられることが新たな価値を生み出し、経営成果や社会貢献につながると考え、誰もが生き生きと働ける職場づくりに取り組んでいます。例えば、当社の国内全従業員(パート・アルバイト含む)の約60%が女性であり、比較的女性比率が高い職場です。より多くの女性が活躍できるよう、働き方や仕組みづくりへのチャレンジなども進め、多様な働き方を支援しています。

処遇面の向上を図り、また、人財育成として階層別研修、社内公募制度、キャリア申告制度などの拡充も進めています。これらの取り組みが社内風土を良化させ、新卒応募者の増加や社員の離職率低下につながっています。さらに、店舗の従業員が働きやすい環境づくりにも取り組んでいます。例えばスシローでは、タッチパネルで注文した商品が座席にダイレクトに届くオートウェイターⓇやキッチン内オートレーンの導入を積極的に進めております。これにより、お客さまへの商品提供時間の削減と従業員の負担軽減を実現しています。

グローバル事業の拡大に向けて、海外店舗では日本の事業を通じた学びも応用し、現地スタッフ各人の成長を支援しています。そして各エリアのお客さまに対して「心も一杯」になるサービスで、事業成長を継続していきます。

企業価値の最大化に向けて、日本事業での強みを活かし海外事業を拡大

企業価値をより高めるために稼ぐ力を一層強化し、FY26は売上高4,850億円、EBITDA595億円、営業利益率8.4%の達成を目標としています。さらにFY35では、売上高1兆円以上、営業利益10%以上の目標を掲げています。

海外事業においては、日本で磨き上げたブランドをさらに進化させ、世界中のお客さまにお届けすることにこだわり、中期経営計画の最終年である今期中に海外事業の売上比率35%、300~320店達成を目指していきます。国内においても、リモデルや店舗ポートフォリオの最適化を引き続き進め、さらなる成長を進めていきます。

キャピタルアロケーションについては、今後も店舗や事業の拡大、それを支える人財の成長や本社の基盤強化への投資、仕入れ・物流などの川上領域への投資を実施し、その上で株主還元の検討を進めていきます。

ガバナンスに関しては、FY21株主総会以降、専門性が高く、経営実績もある社外取締役に代表取締役社長を加えた取締役会を核に、モニタリング型の経営体制に移行しています。前期の取締役会では、経営戦略や財務戦略の方向性を中心に活発な議論が行われました。特に財務指標については、自己資本比率25%、EPS180円など目標水準を定めるにあたり、なぜその数値を目指すのかといった背景や意義について、社外取締役を含めて議論しました。また、ROICについては毎月の取締役会で事業別・国や地域別に詳細な分析を実施し、継続的に資本効率を検証しています。今後も、中長期的な戦略課題を中心に議論し、適切なアドバイスを受けながら企業成長を目指してまいります。

株式会社FOOD & LIFE COMPANIES
代表取締役社長 CEO

山本 雅啓