Together with People and Society

人や社会とともに


お客さま、従業員、お取引先、地域社会、株主・投資家などのステークホルダーと真摯に向き合い、「お客さまに安全で美味しい食を届け続ける」という価値の提供に努めています。また、従業員の働きがいや働きやすさを向上するため、DE&Iや人財育成に関する施策も拡充しています。 

お客さまと従業員の体験価値の向上 

マテリアリティ
DX推進などによるお客さまと従業員の体験価値の向上

日々の食を美味しくすることで、お客さまの生活や人生まで豊かにしたい。その思いのもと、商品のクオリティだけでなく、どうすればお客さまに喜んでいただけるか、体験価値の向上に注力しています。またその取り組みは国内のみならず海外出店を通じて、世界中に展開しています。

お客さまの体験価値向上

当社グループは、「スシロー」「京樽」「回転寿司みさき」「鮨 酒 肴 杉玉」の主要4ブランドを運営しており、グループの総店舗数は、1,155店舗となりました(2024年9月時点)。すべての店舗で共通しているのは、商品の美味しさはもちろんのこと、食を通じた豊かな生活や時間をお届けしたいという考えです。ご来店いただくお客さまの体験価値向上に向けて、各ブランドの特色を活かした取り組みを進めています。 

 「スシロー」では、FY25は「すしに真っすぐ!」というテーマを掲げ、味や品質のこだわりを改めてお客さまに伝えると同時に、社員やスタッフも再認識することで、お客さまに満足いただけるサービスを工夫し向上に努めます。また一部の店舗では「デジタル スシロービジョン」を導入し、デジタルビジョン上で新たな回転すしの楽しさをご体験いただけます。 

「京樽」では、利用シーンに合った商品ラインアップを強化しています。いつでも気軽に作り立てのようなお鮨を食べていただけるよう、品質の高い冷凍鮨などを開発し、大手スーパーのEC等で販売しています。 

「回転寿司みさき」では、ブランドの旗艦店となる「総本店みさき」を東京・人形町にオープンしました。高水準のサービスが日々実践されているモデル店舗として、スタッフの研修・教育の場にも活用し、各店舗でのサービス向上を目指しています。 

「鮨 酒 肴  杉玉」では、「スシロー」と同じ食材にアレンジを加え、寿司居酒屋ならではの魅力ある商品を創り出しています。商品の品質はもちろん、お客さまに食事を楽しみ、面白がっていただくことも大切にしています。 

スシロー

京樽

回転寿司みさき

鮨 酒 肴  杉玉

DXで予約からお会計までさらにスムーズに

「 スシロー」の店舗ではさまざまなデジタル技術を導入しています。アプリでの来店予約、入店時の案内・発券などの自動案内システム、また注文用のタッチパネルやセルフレジ、テイクアウト用の自動土産ロッカーなどがその一例です。DXの活用により、効率的な店舗運営の実現のみならず、待ち時間の短縮をはじめ、商品の快適な注文やスムーズな提供など、お客さまの体験価値の向上を進めています。

すしの回転レーンをデジタルビジョンで再現

2023年9月より、大型のデジタルビジョンと回転レーンを融合させた「デジタル スシロービジョン」、通称デジローを「スシロー」の国内の3店舗にトライアル導入しました。デジローは、デジタルビジョン上で回転レーンにすしが流れる仕組みで、新たなすしに巡り合え、選べる楽しさを再現しました。タッチパネルの役割だけではなく、すしのこだわり情報やクイズが流れてくる仕組みなど、食事をより楽しめる機能を備えています。トライアルでお客さまから好評の声をいただき、2024年6月上旬から9月末にかけて新たに16店舗にデジローを導入しました。2025年9月末までに100店舗での設置を目指しています。

従業員の体験価値向上

「スシロー」ではキッチンの作業効率が高まり、店舗サービスの向上にも効果のあるキッチン内オートウェイター®の導入を進め、従業員が働きやすい店舗づくりを進めています。また、2023年11月には店舗スタッフのドレスコードを改定し、自由な髪色・髪型などが可能になりました。より個性を活かしながらいきいきと働くことで、従業員そしてお客さまへの体験価値向上につなげていきます。 

2025年大阪・関西万博に出店 

2025年大阪・関西万博会場内において、会場中心部の「静けさの森」の近くに「スシロー未来型万博店」を出店します。「場所を選ばず美味しいすしのネタとなる魚や具材を生産することが当たり前となる未来」を感じるおすしを中心に提供し、日本の食文化の魅力と未来のすし屋を来場者の方々に体感していただきます。 

「スシロー未来型万博店」外観イメージ

安全・品質・信頼への取り組み 

マテリアリティ
食の安全・安心

食の安全・安心の考え方

当社グループは、「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」というVISIONを実現するための行動指針として、「ひたむきな誠実さ。 まっすぐ向き合おう、人々の健康と安全・安心に。そして、大切な地球環境に。」を掲げています。お客さまに食を通じた豊かな時間をお過ごしいただくためには、食材管理や調理に関わる工程が安全・安心であることが不可欠です。人、場所、道具、食材等の衛生管理だけでなく、原料からお客さまに提供するまでのすべての段階において、リスクの可能性を適切に把握しながら食中毒防止の対策を実施します。 

HACCPに基づいた品質保証と管理

HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)は、原料からお客さまに商品をお届けするまで、どこにどのようなリスクがあるかを分析し、どの段階でどのように管理してリスクを回避するかを計画し、実施状況を継続的に確認・見える化をして、問題があった場合の改善活動と必要に応じた計画の見直しを行うことが基本的な考え方です。私たちはこの考え方に基づいて、サプライチェーン全体を管理していきます。 

◎サプライチェーン全体像

仕入れ先の品質・衛生管理

当社グループが商材を仕入れている取引先は約170社にのぼります(2024年9月末時点)。新たに取り引きを開始する際には、食品安全は特に重要項目として位置付けています。仕入先の加工場が食品安全管理に関する国際規格であるGFSI認証を取得していることや、取得していない場合においては当社の専門部署が直接加工場へ赴き、当社グループの要求事項に沿って細部にわたって管理状況をチェックし、合格基準を満たしていることを確認した上で取り引きを開始しています。取り引き開始後も、検査や加工場視察を不定期に実施して、安全・安心を守り続けています。

店舗での品質・衛生管理

店舗では、展開する国や地域の食品安全に関する法令を遵守することはもとより、国際的な衛生管理手法であるHACCPの考え方に基づいた衛生管理を行っています。 当社グループの主力メニューはおすしで、生ものを多く取り扱うため、調理に従事する従業員の衛生管理は特に重要です。中核事業であるスシローでは、出勤時には従業員一人ひとりの健康状態と身だしなみ確認を実施した上で、勤務を開始しております。また、入店時の手洗いやトイレ後の手洗いなど、重要なタイミングで全従業員が正しい手順による手洗いを実施できるよう、「第三者手洗い確認」の仕組みを導入しています。この仕組みが正しく機能しているか、全従業員が正しい手順による手洗いを実施しているかどうかを確認するため、手洗いシンクにはカメラを設置し、本社でのモニタリングを実施しています。衛生管理の取り組み事項については、HACCP衛生管理計画書を策定して見える化するとともに、従業員への教育活動を通して周知を行っています。また、年2回、全店舗の外部衛生検査機関による衛生点検を実施し、 衛生管理計画書に従った管理ができているかどうかを評価しています。評価の低かった店舗に対しては、当社の専門部署が店舗を訪問して、改善確認や指導を実施することで、全店舗が一定の安全レベルを維持できるよう、取り組んでいます。

アレルゲン・原産地情報

様々なお客さまの来店に対応するため、グランドメニューと販促商品に対して、アレルゲンの情報を随時更新しながら提供しています。また、農林水産省が公表している「外食における原産地表示に関するガイドライン」に従い、各商品の原材料原産地情報も公開しています。海外輸入の食材は、国内基準をクリアしたものだけを使用しています。



※本来そのメニューに含まれていない他のアレルギー物質が、工場製造時や店舗調理時に意図せず付着、混入する場合があります。

※デザート、ドリンク類、トッピング(ソース、調味料など)については表示対象としておりません。

※天候の影響や、調達の都合によりその他の国からも仕入れる場合がございます。

責任ある宣伝・マーケティング 

マテリアリティ
DX推進などによるお客さまと従業員の体験価値の向上

基本的な考え方

当社グループの行動規範に定める、法令及び社会規範の遵守、商品及びサービスの安全・安心・品質の確保、コンプライアンス体制の構築と維持などの項目に基づき、宣伝・マーケティング活動を行っています。 

管理体制

販売促進のあり方については、各事業会社の経営会議で報告され、各事業会社の取締役会で決議されています。宣伝販促物やキャンペーンを作成・起案する際は、「三位一体」という会議において、広告宣伝部、商品本部、事業会社の各最高責任者のもと各セクションのメンバーや法務担当者などが参加し、議論しています。作成したすべての広告宣伝物は、法務、カスタマーサポート(お客さま対応部署)、広報をはじめとする複数の関連部署にて確認を行います。 

教育・啓発

FY24は、広告宣伝部、事業会社の営業企画部や企画担当者が、法務部が作成した景品表示法の学習コンテンツを2回受講しました。また、広告宣伝部は消費者庁の開催する広告・宣伝に関する勉強会に出席するなどの学びを深めると同時に、部内ポータルサイトを立ち上げ、メンバーが必要に応じて学習し、広告・販促物をチェックできる環境を整え、広告・宣伝・販促等の違反防止に努めています。 

サプライチェーン全体での人権・労働への取り組み 

マテリアリティ
人的資本経営の充実

人権方針と調達基本方針

当社グループの重要な課題として、水産資源や農産物等の持続可能性だけでなく「人」に関連する課題があります。事業活動において人権を尊重する責任を踏まえ、2024年に人権方針を策定・改定しました。本方針は、「国連グローバルコンパクトの10原則」を参照し、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいています。今後は人財の活躍やDE&Iの取り組みをさらに推進していくと同時に、幅広いステークホルダー(従業員、お客さま、地域コミュニティ、サプライヤー、お取引先)の人権尊重に取り組んでいきます。また、調達基本方針においても「人権の尊重と労働」の項目を設け、自社のみならずサプライヤーにも遵守を求めています。 

併せて、人権方針と調達基本方針は英訳をホームページ上で公開し、より多くの従業員やお取引先への周知に取り組んでいます。 

人権デュー・ディリジェンス

人権尊重の責任を果たすため、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、人権侵害の防止に努めます。事業活動に関わる人権問題として、児童労働、強制労働、差別の禁止と多様性の尊重、結社の自由と団体交渉権の尊重、労働時間と賃金、労働安全衛生、これら6つの項目を重視し、課題の解決に取り組んでいます。FY24において、商品を調達する部門では、調達基本方針について研修を実施しました。また、お取引先にサステナビリティ・CSRアンケートを実施し、人権や労働問題のリスクの確認を行っています。加えてFY24は初めてとなるサステナブルミーティングを実施し、主要なお取引先の75社を対象に、サステナビリティに関する取り組みや調達基本方針の説明を実施しました。 

人権・労働に関する取り組み

当社グループは、すべてのステークホルダーから広く信頼される会社を目指し、行動規範を定めています。この徹底を図るため、全社員を対象に、人権・労働問題を含めたコンプライアンス研修を実施しています。FY24はコンプライアンスに取り組む意義や人権尊重、公正な取り引きなどをテーマに、 2~9月にかけて毎月オンライン研修を行いました。次に、従業員の適正な労働時間の遵守のため、過度の長時間労働の防止を目指し、残業時間を毎月モニタリングしています。本社などの一部では顔認証制度を導入しモニタリングの精度を高めています。また、採用時には身分証明書等にて年齢を確認し、児童労働の防止に努めています。  

DE&I推進 

マテリアリティ
人的資本経営の充実

FOOD & LIFE COMPANIESは、企業理念である、VISION「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」の実現を目指しています。
その原動力の一つとなるのが、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(以下、DE&I)の推進です。私たちは、「個性あっての多様性。~グループ力を無限に高めるために。個性を認め合おう。多様な持ち味を発揮しよう。~」をPRINCIPLES(行動指針)の一つに掲げ、DE&Iを推進します。

社会と地域への貢献 

マテリアリティ
DX推進などによるお客さまと従業員の体験価値の向上

「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」というVISIONのもと、 次世代へとつなげる豊かな社会・地域づくりを目指して、食育や奨学金制度などの教育支援活動を推進しています。また、障がいのある方を対象としたスポーツ支援活動などを通じて、共生社会の実現への貢献にも力を入れています。 

被災地支援:石川県輪島市でお寿司を提供

2024年2月に令和6年能登半島地震で被災した石川県輪島市内で、「京樽」のいなり寿司や巻き寿司など、合計約5,000食を「京樽」の工場から直送し、2カ所は従業員6名で、1カ所は市職員の方が提供しました。同年3月には2回目となる被災地支援として、「京樽」の「茶きん鮨」を詰め合わせた「ゆり」を2,000食、冷凍の「茶きん鮨」500パックなどを輪島市役所の敷地内では従業員6名が、その他各地域避難所などへは市職員の方が提供しました。

地域貢献:事業で縁のある自治体を企業版ふるさと納税で支援

「スシロー」では、企業版ふるさと納税による自治体への寄付を行っています。海洋水産資源が減少傾向にある近年、サステナビリティ経営を推進する中で、各地で養殖や品種改良などの事業や実証実験を進めています。FY24は、拠点を設ける熊本県天草市、富山県朝日町、三重県尾鷲市に寄付を行っています。熊本県天草市からはFY23の寄付に対する感謝状をいただきました。 

食育:「未来の回転寿司」をテーマに高校生の探究活動をサポート

2024年6月から10月に「未来の回転寿司共創プロジェクト ~高校生と考える、未来の回転寿司について~」を実施しました。当社グループは株式会社日本旅行と連携し、日本の水産業の現場視察やその持続的活用に向けた外食産業の取り組みを学ぶために、オンライン授業やフィールドワーク、交流型授業の場を提供しました。本プロジェクトには、関西圏の高等学校から7校、生徒25名、教員9名が参加し、4回のオンライン授業と2日間のフィールドワークを実施しました。この成果は、本社において役員向けに発表され、その内の代表校が当社グループの年度初めのキックオフミーティングにおいてプレゼンし表彰されました。

食育:生産者とお客さまを“つなぐ”田植え・稲刈り体験ツアー

「スシロー」では、ご愛顧いただいているお客さまを対象に、食育の活動のひとつとして「スシロー米 田植え・稲刈り体験ツアー」を毎年実施しています。FY24は田植え2回、稲刈り1回を実施し、総勢 178名(57組)の方にご参加いただきました。子どもたちが「スシロー専用米」を育てる田んぼでの農作業を体験することで、生産者への感謝の心、「食」の大切さを育む機会となっています。ツアーには延べ43名の社員が参加し、お客さまや地域の方々との交流を深める機会にもつながりました。 

次世代の人財育成:アルバイト従業員を支援する給付型奨学金制度 

従業員にとってより働きやすい環境を提供することを目的に、2021年10月より「FOOD & LIFE COMPANIES奨学金制度」を開始しました。経済的理由で大学進学や進級をあきらめることがないよう、一定の条件を満たした大学生アルバイトの方々に、返済の必要がない給付型奨学金を月額2万円支給しています。FY24は43名を対象に支援を行いました。 

子育て支援:こどもスシローまんぷくプロジェクト

美味しさの喜びを広げたいという企業理念を実現すべく、「美味しいお寿司を子どもたちにもっと知ってもらいたい」という思いで、NPO法人を通じて「スシロー」で使えるデジタルチケットを配布しています。ひとり親などの子育て家庭を対象に、 FY24は約600世帯に配布しました。 

障がい者支援:障がい者野球大会に協賛 

共生社会の実現を目指し、障がい者支援を目的に年2回のNPO法人日本身体障害者野球連盟への協賛を続けており、FY24で10年目となりました。自身の障がいと向き合いながらスポーツを通じて躍動する選手の方々を今後も応援します。 

教育支援活動

当社では、SDGsなどをテーマに、一次産業事業者・地域・企業と共に、子どもたちの学ぶ機会の創出や、学校授業への協力をしています。