1年で10億皿ものデータを解析、高い精度で需要予測する
「スシロー」では、ITを活用した「回転すし総合管理システム」を導入し、販売動向の管理や需要予測によって廃棄食材を減らしています。一つひとつの皿にICタグを取り付け、どのネタがいつレーンから取られたのかをリアルタイムに把握し、そのデータを基に高い精度で需要を予測。解析するデータの数=商品が載った皿数は、1年で10億件に達します。予測するのは着席から1分後と15分後にお客さまが求める皿の数で、その数字を参考にして商品をレーンに流します。
この施策を始めたことで、廃棄される食品を減らすことにも成功しました。レーンを一定距離移動した皿については自動的に廃棄する仕組みを取り入れています。例えばまぐろは350メートル(約40分程度)で自動廃棄します。これにより、レーンには常に新鮮な商品だけが流れるようにしています。
食品ロス削減は地球環境への貢献であると同時に、外食産業にとっては事業活動のサステナビリティを考えるうえでも必須の取り組みです。回転すし総合管理システムを取り入れたのは、今から約20年も前、2002年のこと。実はそれ以前は、どのネタが何皿くらい売れるかという予測は、すべて店舗で働く店長の感覚で決めていました。要は、勘です。また、レーンを流れる商品の廃棄も、人の目で見て「このネタは乾燥している」と感じた皿をレーンから間引いていました。
そうした状況を変えるためにDXを推進し、一つひとつの皿の動きをデータで記録することで、レーンを流れる商品の管理を人の感覚に頼らず標準化することができるようになりました。それだけでなく、お客さまのニーズを数字で掴むことによって、ニーズが高い商品はしっかり仕入れて品切れを出さないようにする一方、廃棄される食材を減らしていこうというモチベーションも高まり、店長が具体的なアクションを起こしやすくなりました。