Together with the Global Environment

地球環境とともに


水産物をはじめとする自然の資源に支えられている当社グループは、地球環境への配慮が重要と捉えています。2024年10月に環境方針を策定し、持続可能な水産・農産資源確保をはじめ、食品ロス削減や気候変動への対応など課題への取り組みに一層注力していきます。

サプライチェーン全体で水産・農産物の持続可能性を追求

マテリアリティ
公正な取り引きによるサステナブルな調達の実施
食品ロス削減と海洋生物資源などの有効活用

当社グループでは、食材の調達を「川上」、食材の加工・輸送を「川中」、お客さまとの接点である販売を「川下」と定義しています。多くの食材を必要とする事業であることから、限りある水産資源の安定調達に取り組むことが重要な課題のひとつとなっています。 

それに伴い、川下事業だけでなく、養殖も含めた調達面における競争優位性の確立、また調達した資源については食品ロスの削減を徹底するなど、川上~川中での取り組みを強化しています。圧倒的な顧客基盤を持つ川下の強みを活かし、外部パートナーと連携しながら、サプライチェーン全体で水産資源の安定活用に取り組んでいきます。

環境方針

気候変動、環境汚染、資源や水の枯渇、生物多様性の損失は世界においても、当社グループの経営においても重要な課題と認識しており、その防止に向けて2024年10月に環境方針を策定しました。VISIONのもとサステナブルな社会と企業の成長を目指し、青い海と緑の大地を守り、未来まで続く食の恵みを大切にしていきます。

本方針の項目には、法令の遵守、気候変動への対応、環境負荷と汚染の低減、廃棄物削減・効率的な資源利用、水資源の保全、生物多様性への対応を掲げています。当社グループのすべての従業員はもとより、すべてのお取引先に対しても本方針の理解と支持を求めていきます。

サステナブルな調達に向けて

サステナブルな社会の実現と企業の成長の両立には、食材の仕入れ先であるお取引先の協力が必須です。そこで社内のみならず、お取引先にも調達基本方針を共有し、サステナビリティ・CSRアンケートへのご協力をお願いしています。また、新たなお取引先にも本方針を理解いただきつつ、等しく門戸を開き、企業活動と環境や社会の共存共栄を一丸となって目指していきます。

調達基本方針

原料などの調達において、法令・社会規範を遵守することはもとより、安全・安心な商品を継続的に提供するため、調達基本方針を定めています。
本方針の項目には、調達倫理、コンプライアンス、品質・安全性、人権の尊重と労働、持続可能性、腐敗防止、お取引先との協働を掲げ、サステナブルな調達の実現に向けてお取引先の皆さまとともに取り組んでいます。

長期的な安定調達を目指し、F&LCの商品調達基準の策定に着手 

調達基本方針の策定だけでなく、独自の商品調達基準の策定にも着手し、長期的な安定調達に取り組みます。これまでの美味しさや安全・安心を前提とし、原材料の調達における人権、環境、生物多様性、生態系の維持などに配慮した調達に努めていきます。 

サステナビリティ・CSRアンケート 

一次サプライヤーを対象に、サステナビリティ・CSRに関するアンケートをFY23末から実施し、359社からの回答をいただきました。アンケートでは、水産資源に限らず、包装資材、店舗開発、広告や宣伝などのお取引先についても調査を行っています。サプライチェーンにおける負のリスクを把握することで、当社グループのリスクの特定や必要な対策の検討などを進めています。

TOPICS

サステナブルミーティングを初開催 

2024年5月に、主要なお取引先75社とともに、初となるサステナブルミーティングを開催しました。共創による持続可能な調達の実現に向けてのキックオフとなりました。

持続可能な水産資源の調達と開発

マテリアリティ
公正な取り引きによるサステナブルな調達の実施
食品ロス削減と海洋生物資源などの有効活用

川上事業での調達基盤づくり

気候変動など将来の大きな環境変化が懸念される中、天然漁獲量の減少についても危惧されており、天然に依存しない水産資源調達の重要性が増しています。その対応策として外部事業者や最先端技術への投資、業務提携による種苗開発や飼料改良・代替などの新技術の開発に取り組んでいます。川上事業での調達基盤の強化により、安定した品質と生産量の確保を目指します。

安定供給を目指して養殖事業者を支援

20年来のお取引先である、ブリ、ハマチの養殖に力を入れる尾鷲物産株式会社は、資本参加している企業のひとつです。当社グループと協業し、養殖魚の拡大と安定調達を目指しています。

専門事業者とのジョイントベンチャーを設立

水産資源の調持続可能な水産資源の調達を目的に、2022年にマダイ養殖大手の株式会社拓洋とのジョイントベンチャーである株式会社マリンバースを設立しました。養殖事業者が効率的な漁業を実現できることを目的とし、種苗や飼料などの供給、人工種苗の開発を通じて養殖事業の支援を推進しています。

技術革新と研究開発による次世代養殖への挑戦

養殖業における環境が大きく変化していく中で、次世代技術として注目されているゲノム編集や最先端のゲノム解析技術を有する 大学発スタートアップ企業への投資や、共同研究を行っています。 この事業を通じ、変化していく環境に対応した品種改良・種苗開発による生産性の向上を図ることで、サステナブルな養殖事業の実現に取り組んでいます。

磯焼けの海を守り、持続的なウニの調達基盤構築を目指す 

2024年、磯焼け地域に生息するやせて身入りの少ないウニを、独自の陸上畜養技術を通じて高品質なウニとして提供を可能にするベンチャー、ウニノミクス株式会社と資本業務提携を行いました。 

これにより、当社グループの基準に合う良質な畜養ウニの開発、並びに店舗販売に向けた体制を構築していきます。お客さまへの提供を通じて、近年社会課題となっている天然ウニ漁獲量の減少や、ウニにより藻場が荒らされる海の磯焼け問題の解決に向けても取り組むことができ、ひいてはブルーカーボン生態系の保全にも貢献していきます。 

次世代飼料や養殖設備の開発

次世代飼料原料の研究開発や飼料成分のリサイクルを強化し、天然の魚粉原料依存からの脱却を目指すとともに、飼料の規格化を進めることを計画しています。コストや品質の維持・管理だけでなく、トレーサビリティなど原料に対する社会的責任を果たし、飼料原料の持続可能性の確保に努めます。また、養殖現場においては、人口減少や生産コストの高騰により、省力化・省人化を通した生産性の向上と生産コストの抑制が求められています。養殖設備メーカーと連携し、次世代の養殖設備の開発支援を通じて、サステナブルな水産資源の調達を目指しています。

食品ロス削減の推進

マテリアリティ
食品ロス削減と海洋生物資源などの有効活用

食品ロスの削減は外食産業にとって重要な社会課題と認識し、従来からの取り組みを一層強化しています。また、品質が高く美味しい商品を、手ごろな価格でお届けし続けるためには、廃棄する食材をできるだけ少なくすることが重要です。そのためDX化やグループ全体での魚の活用など、さまざまな施策を進めています。また、食べ残しなどの食品廃棄物を飼料やバイオマス燃料等へ再利用することで、資源の有効活用と、廃棄にかかわるコスト削減も検討しています。 

DX・AIを駆使した食品ロス削減

国内の「スシロー」では、AI活用による食品ロスの削減に取り組んでいます。例えば、販売実績から使用した食材の使用量を算出し、需要予測を反映した適正な発注数量や使用量を導き出しています。また、お客さまに炊き立ての美味しいシャリを提供できるよう、リアルタイムの需要予測をもとに、必要な量を見極め、炊飯しています。AIの学習機能により、予測の精度は日々高まっています。

AIは店舗運営の効率化・省力化にも寄与しています。スタッフの予定や売上予測、過去の実績をもとに、AIが最適なスタッフのシフトを提案することで、店長のシフト作成に要する時間を削減しています。

貴重な水産資源を余すことなく活用

一般的に、すしに使用できるのは魚の腹の部分など約4割といわれていますが、魚を1匹丸ごと仕入れる当社グループは、残りの部分も商品に活用しています。魚のアラや骨までに価値を見いだし、 グループ内のブランドの垣根を越えて食材を使い切るスキームを構築しています。例えば、まぐろの握りに向いた部位は「スシロー」 が利用し、頭は「回転寿司みさき」で職人が煮つけ、手作業でないと身が取れない中落ちは「鮨酒肴 杉玉」で酒の肴として提供しています。また「スシロー」のメニューにあるラーメンではアラを出汁に使うなど、握りにはできない部位も活用しています。根幹にあるのは、 すしとして扱う“背や腹”の部分とアラや骨などの美味しさの価値は同等という考え方です。私たちは、「魚に捨てる部分はない」 日本料理の考え方を創業以来受け継ぎ、メニューの工夫がひいては食品ロスの削減にもつながっています。


また「スシロー」では新商品を開発する際に、食品ロスの削減のため同じ原材料を使った商品 (派生品)を開発しており、FY24においては約150の派生品を開発しました。

「 スシロー」の各店舗では、2023年からすしをはじめとする商品を回転レーンに流すことを廃止したことで、流した後に廃棄される食品ロスはゼロになりました。
 

プラスチックと廃棄物の削減・再利用・リサイクル

マテリアリティ
食品ロス削減と海洋生物資源などの有効活用
カーボンニュートラルの実現

事業活動における未来を見据えた持続可能な取り組みとして、環境汚染の低減・防止に取り組んでいます。グローバルに事業を展開する当社グループは、各国の環境関連法規をはじめ、環境・化学物質に関連する法令や社内ルールを遵守し、プラスチックと廃棄物の3Rを推進しています。

プラスチック削減とリサイクルの取り組み 

当社グループは、FY22よりテイクアウトに使用する容器を、プラスチックの使用量が少なく工場の端材を使用したエコ容器に順次切り替えています。導入前と比較すると、年間で約976tのCO2削減(FY24実績)につながっています。脱プラスチックに向けて、紙製容器などへの変更やリサイクル・再生資源の導入も検討しています。 

また、国内の「スシロー」店舗でコロナ禍に設置していた飛沫防止用アクリルパーティションは再資源化を進め、一部は知育玩具の立体型パズルへとアップサイクルしました。このパズルは大阪府内の施設で暮らす子どもたちに寄贈しています。

テイクアウト用のエコ容器 

アクリルパーティションをアップサイクルして作った立体型パズル 

廃食用油の有効利用

「スシロー」と「鮨 酒 肴  杉玉」を合わせた約700店舗で使用した廃食用油を、国産の持続可能な航空燃料SAF(Sustainable Aviation Fuel)の原料とするため、FY23に廃食用油の収集からSAFの製造・輸送・供給を担う企業と協業し、2025年初頭に国産SAFが供給できる体制構築を目指しています。当社グループは、資源の有効活用を通じて気候変動対策に貢献し、循環型社会の実現を目指していきます。

水資源の有効利用と排水

マテリアリティ
食品ロス削減と海洋生物資源などの有効活用

世界では、気候変動に起因する水が不足するエリアの拡大や、人口増加の影響による水需要の増加が予測されます。当社グループの事業において水は重要な資源と認識し、環境方針に基づき、水資源の効率的な利用と適切な排水処理による水質・土壌汚染の防止に取り組んでいます。また、「スシロー」では2014年から各店舗で節水の取り組みを開始し、特に水使用量の多い蛇口に、節水コマ「Bubble90」を設置し、水使用量の削減・効率化に努めました。FY24から改めて設置のし直しを開始し、今後も定期的なメンテナンスやサポート体制を構築し、定期的にモニタリングすることにより継続的な節水に努めます。「スシロー」での節水の取り組みは、グループ内の他ブランドにも展開していく予定です。

TCFD提言への対応

マテリアリティ
カーボンニュートラルの実現

当社グループは多種多様な海洋水産・農林資源を原材料として使用していることから、気候変動を重要な経営リスクのひとつとして位置付け、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、気候変動に関わる情報を開示しています。