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F&LC STORIES

「幸せの循環」を止めない
── 上席執行役員 松尾が語る、F&LCの人的資本経営

「幸せの循環」を止めない

F&LCが「人的資本経営」を経営方針の柱として明確に打ち出したのは、2025年のこと。徹底した数値管理のもと着実に業績を伸ばしてきた中で、なぜいま改めて「人」を前面に掲げたのか。人事領域を統括する上席執行役員 松尾に話を聞きました。

プロフィール
上席執行役員 松尾孝治
2022年入社。メーカーなど複数の業界で人事のキャリアを積んできた「外からの目」を持ち、F&LCの人的資本経営を主導する。

※所属・役職は取材当時のものです。

数字の先にあるもの

―― 人的資本経営を掲げた背景には、どのような問題意識があったのでしょうか。

業績は順調に伸びてきました。材料費や人件費を数値できちんと管理する体制が機能していましたし、その成果は数字にも表れています。しかし、その一方で「働いている人たちに、経営として十分に向き合えていただろうか」という思いがずっとありました。

外食産業は人口減少の影響を直接受けます。お客さまの数も減り、働き手の数も減っていく。IT化や機械化で対応できる部分はもちろんありますが、最後にお客さまの心を動かし、幸せを感じていただくのは、やはり人の力です。技術が進んでも、美味しいおすしをお出しして、幸せな時間をつくるのは人にしかできない。数字を追うだけでは越えられない壁がある。だからこそ、人財への投資を「コスト」ではなく、本当の意味での「投資」として位置づけ直す必要がありました。

「幸せの循環」を愚直に回す

―― F&LCが考える人的資本経営とは、具体的にどのようなものでしょうか。

「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」――それが私たちのビジョンです。その実現の第一歩は、お客さまと接する社員自身が満足し、やりがいを感じながら働けているかにあると考えています。

考え方自体はシンプルです。社員に投資をして、主体的に力を発揮してもらう。お客さまへの提供価値が上がり、利益として返ってくる。その利益を再び社員に還元する。私たちはこのサイクルを愚直に回し続けているだけなんです。

「愚直に」という言葉は、華やかには聞こえないかもしれません。しかし大がかりな施策を派手に打ち出すよりも、地道に一つずつ積み上げていくほうが、結局は強い。その確信があります。

アームカバーから育休まで ――現場を守るということ

―― 理念を現場に落とし込む施策についても教えてください。具体的にはどのような取り組みをしていますか。

わかりやすいところでいうと、たとえば安全面です。フライヤーを使う際のアームカバーや、アボカドを安全に切るための専用カッター、すしネタを切るときの手袋、滑りにくい床。地味に聞こえるかもしれませんが、大事なのは「会社は自分たちのことをきちんと考えてくれている」と感じてもらえるかどうかです。一つ一つは小さな改善でも、その積み重ねが現場の安心感をつくっていくのだと思います。

2023年にはドレスコードも緩和しました。一定条件のもとで好きなヘアスタイルやヘアカラーにしていいし、明るいカラーコンタクトレンズなども可。これは自分らしくいきいきと働ける環境をつくっていきたいという思いからです。男性の育児休業についても、数年前はほぼゼロだった取得率が現在は7割程度にまで上がりました。社内では「ファミリータイム」と呼んでいます。またスシローでは育児や介護など制約のある期間中にエリアを限定して勤務できる制度も整え、ライフステージの変化に合わせた働き方を選べるようにしています。

見えない壁を越えるために

―― 施策を進める中で見えてきた課題はありましたか。

一番大きかったのは、部門間の壁です。本社と店舗、国内と海外――物理的な距離だけではなく、お互いの仕事の背景を知らない、という心理的な壁もありました。それぞれ真面目に仕事に向き合っていても、業務上のやりとりだけでは相手の事情まで見えにくい。認識のズレが生じやすい構造になっていました。

そこで取り組んだのが、店舗研修の必須化です。中途入社の本社社員に、まず数日間店舗での仕事を経験してもらう。現場を知った上で本社の業務に就くだけで、見え方がまったく変わります。コロナが落ち着いてからは数日間の階層別研修も開始しました。知識やスキルの習得もさることながら、狙いはもう一つ――異なる部署の人とオフサイトで直接話す機会をつくること。これが思った以上に効いています。

実際、目に見える変化が出てきました。部長同士が自発的に懇親会を開くようになったり、部署を越えた協力から具体的な成果が生まれたりしています。研修の場で終わるのではなく、そこで生まれたつながりが日常の業務にまで波及している。業務上のやりとりだけだった関係が、お互いの背景を知った上でのつながりに変わりつつある――そういう手応えを感じています。

自らキャリアを切り拓く

―― キャリア面での取り組みについても聞かせてください。社員の意識に変化は感じられますか。

キャリア申告制度や社内公募制度を整えてきた中で、「会社から与えられるキャリア」ではなく「自分で考え、切り拓いていくキャリア」へと、社員の意識が少しずつ変わってきていると感じます。自ら手を挙げて新しい領域に挑戦する動きが増えてきました。

この流れを、さらに加速させていきたいと思っています。たとえば、女性店長が育児休業を取得し、復帰後も店長を続けながら課長、部長を目指せるような環境。成長を強く求める人にも、安定した働き方を重視する人にも、それぞれに合った機会を提供できる会社でありたい。一人ひとりの力をどうやって組織全体の力にしていくか――これからの大きなテーマです。

私たちの会社は、真面目な人たちの集まりです

―― 複数の業界を経験した立場から見て、F&LCをどのような会社だと感じていますか。

一番に感じるのは、一人ひとりが本当に真面目だということです。いくつかの企業を経験してきましたが、F&LCの人たちは派手に目立つわけではなく、自分の持ち場でしっかりと仕事をしている。入社以来、日々の中でその姿勢に何度も触れてきました。

そうした一人ひとりの姿勢こそが会社全体の信頼になり、お客さまへの提供価値として表れていく。入社して4年になりますが、方向性さえ間違えなければこの集団は大きな成果を出せる――その確信は日に日に強くなっています。

―― 最後に、今後の展望をお聞かせください。

人財への投資から始まる「幸せの循環」――これを経営の柱としてもっと強くしていきたいです。社員が安心して挑戦できる環境があって、お客さまに価値を届けられて、その成果がまた社員に返ってくる。決して華やかな話ではありません。でも、この循環を愚直に回し続けること。それが私たちらしい道なんだと思います。